内省

コーチングというのは、苫米地氏によるとアメリカのフットボール・コーチが始めた理論らしいが、
スポーツのトレーニングの為の「指導法」という意味ではなく、
ものの考え方、特にひとつの成功体験を脳内で導き出す為の理論だと理解している。
これを自分の中で内省的にやるためのひとつの方法が、「セルフ・コーチング」。
苫米地氏に対してはいろんな見方があるけれども、
彼が少なくとも役に立つ考え方を持っている事は間違いないというのが、私の意見。
頭の良さも、少なくとも私の100倍以上だ。
本当は大変難しい理論があるらしいがそんなことはよく解らないので、
ひとつだけ、私の理解の範囲内で紹介したい。

徹底的に何かを考える為の方法。複数人数でやるのが望ましいが、自分一人でも可能だ。

何でも構わないが、否定でも肯定でもいいので、
「Aは正しい。」「Aは間違っている。」
というような、命題を設定する。
Aを肯定するほうだけを説明するが、
「Aは正しい。」を肯定する理由を5通り考える。
5通りそれぞれについて、
それぞれを否定する理由を考える。
これで、5掛ける5イコール25通りの、「Aは正しい。」を否定する理由が出来上がる。
その25通り全てに対してそれぞれに、
『「Aは正しい。」を否定する理由』を更に否定する理由を5通りずつ考える。
そうすると、25掛ける5イコール125通りの「Aは正しい。」を肯定する理由が出来上がる。
ちなみに、5通りくらい見つからない考え方は、充分に考えられていないはずのものなので、
途中でそのラインを切り捨てることができる。

何かを徹底的に考えたい場合、せめてそれくらいは考えろということらしい。

ビジネスでも、議論でも応用できる。
例えば、「今月の売り上げ目標は500万円」
どうすれば可能かをチーム全員で5通り考える。
で、それを5通りずつ否定して、
さらにそれぞれを5通り否定すると、
125通りの「目標を達成させる為の方法」が見つかる。
「さぁ、出来るじゃないか、それをやれ」ということになる。
これは何回でも繰り返すことでさらに多くの考え方が見つかるが、
それは無制限に時間があればの話。
125通りくらいでいいだろうと、苫米地氏は言っている。
また、ビジネスチームというのはリーダーが命令を与えると
文句ばかりで否定したがる奴が多いものだとも言っている。
笑ってしまったが、自分も含めて、なるほどあてはまるもんだと思った。
思考実験を実行するとわかりますが、
125通りを導き出すというのは大変困難な作業です。

どうですか?少し役に立つ気がしませんか?
よく「こりゃ大変だ、どこから手をつけたらわからんぞ。」というような場面に出くわすものですが、
「いや、そんなことはないぞ。」
と考え始める為の有力なひとつの方法論であると、
私は理解しています。