天文台

星の王子様は読んだ事が無いし、僕は天体観測少年でも無かった。
うちには、一度しか覗いたことのない天体望遠鏡が、ある。
だけど、
天文台の人の話を聴くのは、
とても心が静かになって、
聴くものを詩人にするものであると断定する、キッパリ。題名は何かのパクリ。


「見上げてごらん 夜の星を」

ハッブルが宇宙の果てのほうを見ていたら、
宇宙の始まりが見えたらしい。

すばるが暗闇に眼を凝らしていると、
太陽ではなく、遠くの恒星をめぐる惑星が見えたらしい。

その色をみると、
その星が何で出来ているかさえわかるらしい。

僕達は、ビートルズを歌うことで、
どこかの誰かに、ここに僕達がいることを伝えようとしている。

耳をすまして、
背景輻射ではない声を探す。
「こだまじゃないよ」って、もし聴こえたら、
世界中の星の王子様たちはジェット機に飛び乗り、
地球のへそに行って秘密会議を開くのだ。

新しく打ち上げた宇宙オペラグラスでずぅ〜〜〜っと何年も面積の無い一点をみつめ、
眼が痛くなってくると、
きっと何かがみえるのだ。

地面の下で、
カミオカさんがひしめきあいながら、
「あらあんた、そんなとこさわったら、このいけず」
と言うチャンスを窺い、

どこか遠くの空気の薄い広い大地にいっぱい産毛を植えて、
空から降るかすかな揺らぎを感じながら、
あ、そうか、光って揺らぐからときめくんだなって、
再確認するんだ。

スイスの山手線でエイトマンが光のちょっと前くらいのはやさで疾走し、
マッハ15の流星号と正面衝突したおかげで、
スーパージェッターのため息が聴こえたらしい。
しかしその声は、声とはいえないし、
面積も体積もないとかあるとか、β崩壊とか、スピンがどうとか、
ほらまた、そういう事言うんだな。
だから、僕はそのため息を残らず全部ポケットにしまったんだ。

おっと、叩いちゃいけないよ。
ビスケットが等比級数的に増えちゃうからね。
そーんな不思議なポーケットーがほ・し・い。うふっ。

そのビスケットを見たら、ほらやっぱりね、隙間があるじゃんね。
ここに、あなたの見えない、あ、俺にも見えないヒッグスがいるのさ。

嘘じゃないよ。青写真も撮ってあるし。
キュリー夫人だってびっくりさ。

あ、レントゲンさんか?
あれ?ワトソンとクリックだっけ?

何の話なんだよ、おい。

大体、カタカナ嫌いなんだよ。
これは等比級数的酔いの増加傾向を表す。
って、収束すんのかな。
等比なんとかってな、おい、ウィキ見てみそ。
あんなもん見て、何がわかるってんだよ。

だいたい、僕が、俺になってるぞ。

おまえ、ふざけてんだろ。

========以上、本文==========
以下、あとがき
で、私は、まじめに始めたんですが、ほんとに、初めの書き出しは。
なんでこうなっちゃうかなぁ。
アクロス・ザ・ユニバースが脳に鳴り始めたころから少しおかしくなって、
冬のオペラグラスが聴こえてきたら、
急にスーパージェッターのテーマソングが聴こえだして、
脳に浮かび上がる言語が踊りだすという、
気分そのままではいけないはずが、
ふざけてんだろで終わってしまうという、いつもの私に戻る。

私のため息はあまりに深く、誰にも掬えないものと成り果てました。

===========本当の、おしまい===========