オニの系譜 その6「まきがい」

で、まきがいであるが、おいらはあまり触れたくない。
踏み込むと、巻き込まれる恐れがあるからだ。

栄螺のような巻貝。
それも、蛤と同様に、旨い。
まきがいも、化身を持つ。それ以上のものも。

まきがいの巻きは、そう、巻いているものであるが、
がいは、貝ではなく、概である。貝が濁ってガイと発音されるのではない。概である。

まきがいは、「巻概」を当てる。

概は、とても説明が難しい。概という呈なのだが、
言葉以前の呈であり、
殆ど言葉では説明できない。アバウトということでもある。

そんな曖昧なものに、巻きが付いている。そう考えただけで、おいらはもう、恐ろしい。

奴の正体は、妄念である。

妄念だけでも、かなりやばいが、奴の妄念は、巻いている。
極限まで巻いているので、
ほどけることも恐ろしいし、はじけることも、恐ろしい。

鳴門の渦潮を見たことがあるか?

基本的に、奴は鳴門の底に位置している。
鳴門の渦潮は究極の渦潮であり、
その力が海をかき混ぜ、グローバルな海の均一化に貢献しているとは言えるが、
別に巻概の意思によるものではなく、
妄念が巻いていることの、単なる結果に過ぎない。

奴のことはあまり言いたくないが、
それではあまりに不親切なので、
おいらのできる限りの説明を試みよう。

========まだまだ続く=========
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海底まきがいより、追記。
今回は連載の形式になってしまったので、いきなり今回を読まれた方がいるならば、
取り敢えずその1をちらっと見て下さい。