書き下ろし創作童話

オニの系譜 その最終回

本来、存在とは「自己(self)」と、「魂(soul)」で成り立っている。 その存在は、長い年月をかけて「心(mind)」を幻想した。 自己と魂は密接に結んでいるが、お互いを認め合うための術が無い。 その中間に「心」を置かざるを得ない。 人間は、他の存在とは…

オニの系譜 その9

おいらが独りぼっちにされた人間をさらうという話は、以前にしたことがある。 人間は、独りぼっちにしても、されてもいけないという警告の意味で。玉を抜くは、本来「魂(たま)を抜く」を当てる。おいら達の巣には、魂(たま)がたくさんいる。 実体としての…

オニの系譜 その8

日本の民話にしばしばおいら達ガッパの話は現れる。 皿、水かき、くちばし、甲羅、緑。 それは、大まかに言って、見た目はホントだ。しかし、おいら達を直視する人間は、いない。二目遣いを意識する人間のなかの、更に一部の人間に、 おいら達は捉えられる。…

オニの系譜7「まきがい」

巻概の巻きは、全ての巻くものに影響を及ぼす。海だけではないのだ。例えば、大気に及べば、台風や竜巻。 ちょっとした旋風。扇風機。子供が描くお日様。お日様と言えば、フレア。床屋の軒先にある古風な青、赤、白が廻る看板装置。ペロペロキャンデイーの、…

オニの系譜 その6「まきがい」

で、まきがいであるが、おいらはあまり触れたくない。 踏み込むと、巻き込まれる恐れがあるからだ。栄螺のような巻貝。 それも、蛤と同様に、旨い。 まきがいも、化身を持つ。それ以上のものも。まきがいの巻きは、そう、巻いているものであるが、 がいは、…

オニの系譜 その5

海は、本来は淡水だ。つまり、塩分を含まない。ハマグリが吹いている潮。それが、海の成分を創る。 創造そのものである。一般に、黒潮、又は親潮と呼ばれる暖流は、 彼女が吹く潮により産み出される。黒潮と呼ばれる所以は、現実的に、やや黒く見えるからだ…

オニの系譜 その4

潮招きという蟹は、片ばさみが異様に大きい。 生き物が備えているアンバランスには、必ず意味がある。離岸流に沿って、大量の潮招き達がハマグリに向かう。 もちろん、ハマグリは全てを吸う。潮招きだけじゃない。 全てを吸うから、究極の離岸流なのだ。ここ…

オニの系譜 その3

オニは、化身を世界に現している。ハマグリは、やはり蛤を化身としており、 海の家で卓上コンロで焼かれるのも良いし、 はますいを高級料亭で出されると、 もう、なんというか、脳が揺れるくらいに、美味い。ハマグリの講義を始める。 澪の遥か沖にある、海…

オニの系譜 その2

日本の太平洋沿岸に存在する、とある岬の真下に究極の離岸流がある。 地元の漁師は、澪と呼び、 その岬から身を投げた者は、決して浮かび上がらないと言い伝えられている。 その離岸流が究極のものであることは、真実である。 つまり、地球の海における流れ…

オニの系譜 その1

おらぬモノがおる呈を、オニという。 我が河童一族も、オニの系譜に連なる。河童は、合羽である。 つまり、 水と、羽と、わらし(童)のミクスチュアの呈ということだ。であるので我が一族の名は、、 正しくは、ガッパであり、カッパではない。 名とは本来、…

『空飛ぶトナカイ島 エピソード4』

秘密のタンポポ畑(My Secret Dandelion Field)の巻き みさきちゃんは今、河川敷に来ています。 一人で遊びに行っちゃいけないとお母さんに言われているので、今日は近所に住んでいる同じクラスの洋輔が入っている少年野球クラブの試合の応援ということで、…

「空飛ぶトナカイ島 エピソード3」

☆トナカイ島通信所より、ヘンナの報告(from tonakaijima media center,Henna reports)の巻き 皆さんこんにちは。雪だるまの、ヘンナです。 トナカイ島通信所より、報告いたします。(CNNキャスター風) 空飛ぶトナカイ島には、とても大きな通信所があります…

「空飛ぶトナカイ島 エピソード2」

☆空飛ぶイルカサーフィンの巻き みさきちゃんは、今日は何故かとても懐かしい気持ちでベッドに入り、グッスリと眠っていました。 もう小学校に通うようになって3年の月日が経っていました。 さて、ここからはどう思い出しても、夢なのか、現実なのか、どう…

「空飛ぶトナカイ島 エピソード1」(soratobu tonakaijima episode1)

☆雪だるまのヘンナちゃん、登場 の巻き みさきちゃんは大きな街に住んでいるので、たくさん積もった雪を見た事がありません。 だけど今日は、朝、目が覚めると、昨日の夕方から降り始めた雪が街中に積もっていたので、とても驚きました。 日曜日だったので、…