宇多田ヒカル:深遠なる歌詞。。

ULTRA BLUE ULTRA BLUE
さて、宇多田さんです。今回は最新作のみ、ご紹介です。
彼女が同世代のみならず、大人世代にも受け入れられている最大の理由は、その詞にあると思います。 独りよがりでは無く多くの人々の感性に訴える詞を作るには、自分の感じているあらゆる出来事をいったん心の奥に深く沈め、更に自分自身を見つめ直し、ようやく浮かび上がって来た大切な言葉達を普遍的なイメージを持つ詞へと昇華させる過程が不可欠です。
デビュー作で空前のヒットを飛ばした彼女はおそらく、想像以上に大きくなってしまった自分の姿に恐怖し、押しつぶされそうになっていると私には思われます。まるで戦場の廃墟の中の隅で、泣く事もできずに膝を抱えて、僅かに残る希望をその瞳にたずさえてこちらを見つめる少女の姿が、彼女にかさなります。
しかし彼女はそういった全てを更に昇華し、次々と私達に新しいメッセージを送り続けていてくれています。
このアルバムからは、”COLORS”という曲を取り上げます。そのタイトルの通り、
青い空、青い傘、闘牛士の赤、白い旗、オレンジの夕陽、黒い服、真っ赤なルージュ、鮮烈なイメージを持つ言葉達が美しくコラージュされ、聴いているのを忘れてそのカラーのイメージに支配される自分を感じます。
この歌詞の通り、”白い旗をかざす”にはまだはやい。情熱にも値段はつけられない。
時代を背負って奔りつづけるんだ、ヒカルさん。。。