ロバート・B・パーカーのハードボイルド小説。スペンサー・シリーズだ^^

初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)

初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)

さぁ、本格的に本のご紹介。スペンサーのシリーズはとてもたくさんありますが、そのシリーズに、私がはまったきっかけとなった本がこれです。
 主人公のスペンサーとは、アメリカ、ボストン在住の白人探偵の名前です。彼の行動基準は唯一つ。自己のプライドを侵そうとする者はどんな権力者であれ、どんな極悪人であれ許さないという事。それは己の生命を懸けても守り抜くという決意に裏づけされ、爽快なストーリーが展開されます。そんなスペンサーを理解しようと努めつつ、自分のアイデンティティーとの両立方法に悩む心理学者の恋人スーザン(ユダヤアメリカ人)。スペンサーと同一の行動基準を持つ、相棒であり、且つ又ライバルでもある友人のホーク(黒人)。この3人を中心にして、依頼者の問題を解決するその過程として、アメリカの様々な問題や、スペンサーの個人的な問題をも解決しようという物語で、スペンサーのその立場と行動が、読む者にたくさんの示唆を与え、男として生きる為に、というより、人間として強く生きる為には何が必要なのかと言うことを考えさせてくれる小説なのです。
 さて、「初秋」ですが、スペンサーが、魅力的かつ離婚して子供を引き取って暮らしている女性から、別れた旦那からのボディーガードを依頼される事で始まります。しかしその実態は、やくざな男と、男にだらしない女の間でその子供がキャッチボールのように扱われるという、スペンサーの心の琴線に触れるかわいそうな少年ポールが、ストーリーの中心となります。その少年を愚かな両親から取り上げ、自分で引き取ってしまうスペンサー。驚愕するスーザン。さて、その行方は。。。^^
 少年をいかにして男として自立させるのかという、おそらく子供の教育という物の根本をスペンサーが実現させていくところに、今回の話の核心がありますが、そこにまた様々なアクションが加味され、大変感動的な仕上がりになっております。また、この本は日本の俳優の高倉健さんが映画化しようとパーカーに持ち込んで断られたという、エピソードもあるそうです。
 これは多分シリーズの3作目か4作目あたりだと思うのですが、一話完結ですので、どこから読んでもだいじょうぶなのです。しかし、スーザンとスペンサーの関係が変化していくので、そこが気になる方は、1作目から読むのがよろしいかと思います。
 全ての男達よ、これを読んで、アイデンティティーを取り戻すんだ〜〜〜^^