志ん生芸談

志ん生芸談

志ん生芸談

志ん生師匠が好きで好きでたまらなくなって、
ネットにある分は殆ど聴き尽くしちゃったんで、志ん生さんの本でも読んでみることにした。
当たり前だけど、もう会うことはできないんで、
誰かが志ん生さんのことを喋ったり、志ん生さんから聴いた話を誰かが書いたりってものを、
読んでみようってぇわけだね。。
この本は、その両方を味わえる。
殆どインタヴュー録音をそのまま活字に起こしたみたいな造りになってるし、
対談も載っている。
志ん生さんが喋ってるのが聴こえるような、そんな出来なのでとても嬉しい。
ちょっとだけ、ネタばらし。
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 庭の池に死んだフナが浮いているのを女中さんが見つけた。
志ん生「こう寒くちゃァ、フナだって死なあネ」
朝太「ずいぶん死ぬネ」
志ん生「五十メガトンってえやつかネ」
馬生「・・・・・どうせ戦争すんなら早いとこやって欲しいですネ」
志ん生「いやネ、いままでの戦争は、なんか取ってくるものがあったからネ、いまぁ、戦争
しかけた方だってなくなっちまうんだからネ、手が出せやしねえ」
馬生「それは承知の上のはずなんだがネ」
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こりゃあ、真実だよなぁ。怖いくらい世の中の芯を掴んでいるでしょう?
ちなみに朝太さんと馬生さんは、息子さんです。

徳川夢声さんとの対談から
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志ん生 本当に巧いとなると、こりゃ素人が聞いても分るもんですよ。通でなけりゃ、分ら
ねえなんて巧さは、まだ本当じゃないね。
夢声 そりゃそうだろうな。
 ーーーーーー中略ーーーーーーー
志ん生 その話は、私も誰かに聞きましたが、私もあなたに賛成だね。まったく圓喬は巧
かった。始めてハナシを聞く、どんな人間にでもチャンと、巧いてえことが分ったからね。
夢声 こいつはハナシに限らない。文学でもそうだと思うね。本当の大文学なら、純文学も
大衆文学もないんだ。凡そ文字の読める人間なら、誰が読んでも面白い、感動するという
のでなけりゃウソだろうね。
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これもまた、真実だよなぁ。
こういった話の宝庫ですよ、この本は。

しばらく集中して志ん生さんの本を読むので、小説も勉強もお休み。

しかし、会いたいもんだなぁ、志ん生さん。。。。。