志ん生、語る

志ん生、語る。―家族、弟子、咄家たちが語る内緒の素顔

志ん生、語る。―家族、弟子、咄家たちが語る内緒の素顔

ああ、これはね、泣いた。
美津子さん、馬生さん、志ん朝さんの話がね。読む前に、少しは知っていたけどね。
馬生さん55歳。志ん朝さん63歳。
志ん生襲名が叶わなかった一家の無念さは、どんなもんだろう。
馬生さんのときには、志ん生さんが天国で、

「あ、おめぇはもうこっちに来ちまったのか。
 ったく仕方のねぇ奴だなぁ、まぁ、一杯飲みねぇな。ちびちび飲むんなら、また下に叩き返すからグッとやりなぁね。」

ってな感じで、
こっちで一杯やるのも仕方ないかと思ったかも知れないが、志ん朝さんまでがね。そっちに行っちゃうなんてねぇ。

「あああ、なんだよおめぇはぁ。まだまだこっちに来ちゃいけねえぜ?
 ひよっこのくせしやがって、
 なんたってまぁこんなとこまできやがって、ちきしょう。
 俺は勘弁ならねぇもんは、勘弁しねぇからなぁ。」

って、背を向けて堪えてる内に、オイオイ声あげて泣いたろうなぁ。

「なんだってんだ、おめぇは、こんちきしょう、ちきしょう、チキショォォォオオおおおお・・・・・・」

こん平さんの話も、良かったなぁ。

これからもう少し志ん生さんの本を読むつもりだけど、また泣くんだろうな。


非常に不謹慎な話ですが、
歌舞伎の世界から大看板が二人も亡くなったのは、
談志さんが連れてっちゃったんじゃないのかなぁ。

震災でたくさんお客(これも非常に不謹慎な表現ですが)が向こうに行っちゃったんで、
談志さんが、
「おいおい、こんなに来ちゃったんじゃ俺だけじゃ間に合わないよ。お前早くこっちに来い。」
「あたしだけじゃ心配なんで、もう一人連れてきますからぁ。」

なんか、そういうことって、あるような感じがするんですよねぇ。