木は、何故木なのか。

ちょっと前から考えていたことがある。
植物って、何でどの植物を見ても植物だとわかるんだろうって。

わかったんだね。
葉で光を受けて生きているからですね。

そりゃ当たり前だと考える人も多かろうが、僕には今までわかんなかったんだから仕方が無い。

移動できないからだで、
最大限に光を有効利用するために葉を広げようとすると、
必ず一定の形が生まれる。

前後左右上下。あ、これなんていうんだったけかなぁ。中国語で。
これは必ずどこかで聞いた話なのでちょっと検索しちゃうと、
あ、そうそう「宇」だ。からつ塾の先生が言っておられたんだった。
淮南子に出てくるんだね。そこに、時間を意味する「宙」を組み合わせて、
「宇宙」。
「往古来今謂之宙、四方上下謂之宇」

また、脱線が酷い。

そうそう、植物ね。

目一杯に広げようとすると、倒れちゃったり、折れちゃったり、
もともこもなくなっちゃうから、制限があるんだね。
水の量もあるし、根っこの問題もあるし。

種類によって体の形は様々だが、植物だと僕に認識させるに足りる一定の形になるんだ。

高らかな植物の生命表現。

これに気付いた時から、目に映る世界が、変わってしまった。
非常に美しい。
風景は、ただの風景じゃない。
生き生きと輝きだしたのであります。

植物に集う鳥達の可憐なことよ。

というか、僕は鳥の語りかけが聴こえるようになった気さえする。

主に毎日出会うのは、雀。
僕が一定の距離に近づく度に、その群れの中の一羽が、
「逃げろ。」と叫んで飛び立つと、群れがいっせいに街路に植えられた椿の木に隠れる。

羽毛はグレーと白、嘴はオレンジの名も知らぬ鳥は、まず僕には無警戒。
鳩は、何か頂戴とでもいうように近寄ってきさえする。

メジロっていうのかな、あれ、可愛いな。
あれも、僕にはほぼ無警戒に、葉っぱのウラの毛虫を僕の背後から急降下して連れ去ったりする。
枝にミカンを刺しておくと、色んな鳥が寄ってきますな。

駅付近の制空権を握っているのは、カラスだ。
僕は、カラスが大好きだ。

奴らは、僕たちを完全にばかにしているね。
「お前ら、俺達にかなうものか。」と、完全に思っている。
常に3次元で行動を考えられるというのは、相当に羨ましい。

しかも、カラスって、遊び心も、持ってるしね。
ほかにも、遊んでいる鳥、いますよね。
カラスの話し声は、結構はっきりしているよ。
僕のマンション付近のカラスは、「わん。わん。」て鳴いてるよ^^。一羽だけだと思うが。
彼等は、群れだからね。そのうちの、一羽。

彼等の、追っかけまわしごっこは、見事だ。ゼロ戦と、アメリカ軍機の空中戦みたいだ。
たぶん、ホントに、群れに危険な鳥が迫った時の、訓練にもなっているんだろう。

あ、こんなに脱線して、
植物だった。

植物が僕に見せてくれている美しい姿は、
僕を新しい世界へと導いてくれた。
本当は、とっくに見えていたはずなんだ。

僕がフォーカスするポイントが変わったに過ぎない。
世界は変わってなんかいない。

しかし、僕が変わると、世界は変わる。
僕が見ている世界だから。

しかも僕は、これを後退ではなく、前進だと信じたいのだ。

========おしまい========