形あるもの・ないもの

形あるものなら、
必死で追い求めれば手に出きる可能性がある。

しかし僕が欲しいのは、
形ないものだらけ。

それらの殆どは、
追えば逃げ、追いついたと思えばすり抜けて、僕は置き去りにされる。

当たり前なのだろう、形が無いのだから。

形が無いのに、なんでそれらを欲しいと思うのだろう。
輪郭さえ見えず、触る事も嗅ぐことも聴く事もできないのに、
欲しいなんてそもそもおかしい。

こうしてグルグルと同じ場所を回っているうちに、
向こうのほうからやってこないかしら。

春の暖かな風のように。

焼けたアスファルトの上に光る逃げ水を、
昔はよく見たんだけれど、
最近見えなくなったなぁ。