ギターと、愛。その2

まぁ色んな神様がいるのだけど、トミーさんは俺の神様である。

トミーさんがもの凄い理由は、演奏で笑いをとることである。
演奏の間のトークじゃなく、演奏そのもので、笑いをとってる。
メチャメチャに凄いテクニックを披露しながら。

音楽は垣根を取り払う。
人種、言語、文化、何と呼んでもいいのだが、垣根は全部吹き飛んじゃう。

トミーさんなら、地球という垣根でさえ取っ払うだろう。
火星人でさえ、『$%)+**`}??B#"!<』なんて言いながら、笑うに決まってる。

ギター1本担いで、世界中を旅する。PAが無いとしても、会場が無いとしても、
トミーさんがそこに立ってギターを弾けば、そこが大きなステージになる。

トミーさんは、観衆の笑顔を見ながら何を思うだろう。
垣根を取っ払う事ができれば、皆笑顔になるんだ。それを実感し、体感しているだろう。

問題は、垣根なのだ。

人間は、自分の心にせっせと垣根を造る。
幾重にも幾重にも、頑丈に張り巡らそうとあくせくしてしまう。

俺は、それが取っ払われた世界を、トミーさんや、村治さんや、
あ、違うな、ギターを通して実感する。

俺が今使っているギターは、捨てられようとしていたギターだ。
下請けの縫製屋さんのお嬢さんが使っていたものを、
「これ、いらない?」と言われて、2本あったうちの1本を貰った。
使われなくなったピアノが捨てられる時と、同じ理由だ。

ドロップDにすると、恐ろしいほど鳴る。
ドーンと、というかバーンというほどに、鳴り響く。俺にはちょっともったいない感じのギターだ。
今はリビングに出しっぱなしにしているので、
生活音を返すんだね、恐ろしいほど。
ちょっとぶつかれば、バーンと鳴るし、大きい声だせば、それも返す。
ワーンと鳴り続けてくれるんだね、これが。

俺の元にやってきてくれたギターなんだ、たぶん。
ほんとに、俺にはちょっともったいない感じを、俺は実感している。

さて、垣根を全部取っ払おう。

何が見えるかね?

愛じゃないか?

ありがとう、俺の愛器。