車の未来と、テニスの錦織。

子供の頃思い描いた未来の車には、完全に裏切られた。
俺はもう50を超えてしまったのに、まだこんな車に乗っているとは悲しい限りだ。

少なくとも、タイヤは無くなると思っていた。
それだけでも、俺的には車の未来に失望する。

ガソリンでも、水素でも、バッテリーでも、木炭でも、
そういったことじゃない。
自動ブレーキとか、自動ハンドルとか、そういったことでもない。

そういったくだらないものは、
恐らくちょっとした開発でユーザーの眼をくらまして儲けようという、浅ましい願いだ。
モデルチェンジなんて、誰も望んじゃいない。

ちょっとしたと言っては開発者に失礼だが、
ようするに上辺の飾りを増やすだけで、本質的なものを考えようとしない。

積み重ねてきた技術を捨てるのはとても難しい。

今までの設備のままで、できるだけ長く車を造り続けたい。

だから、車は殆ど全く進化していない。

歴史の本質も、ここらあたりのややこしさにあるんじゃないか。
現状維持を、皆が望んでいるような気がするんだ。

以上と真逆に見える人が、錦織圭さん。

子供の頃から思い描いていた訳じゃなく、スポーツ選手を色々考えられるような歳になってからの話だが、
野球ならトップテン入りする選手はすぐに現われるだろうと思っていた。
ゴルフは、それよりもっと早いだろうと思っていたが、ちょっとまだ結論がでない。
水泳にはかなり驚いた。バタフライとか、自由形とか、メドレーとか、
そういった種目で世界と戦える日が来るとは、思っていなかった。

俺が生きているうちには無理だろうと思っていたのが、
陸上短距離と、テニスだ。

錦織選手は、今現在世界ランキング4位から6位くらいを維持している。
世代交代のタイミングが上手く合えば、大きな大会での彼の優勝する姿が見える。
日本だけでのことだけれども、歴史が作られているダイナミックさを、
彼から感じ取れる。
俺は、彼の瞳に、非常な孤独が映っているように見える。
それこそ、本物の瞳のような気がする。現実ではない、もっと遠くを見る瞳。

思う存分戦え、圭さん。