破滅の足音

非常にネガティブな内容です。救いは全く無い。


通勤途中、電車の乗り換えの、売店がある通路の壁際に、その人がいる。
一見して、普通の勤め人に見える。
ワイシャツはきちんとプレスされてるようだし、俺のよれよれな姿より遥かにましだ。
だいたい俺は、勤め人とは殆どかけ離れた格好で通勤してるから(^^;
その人ね、その通路で、350ミリ缶のスーパードライをね、あんまし旨そうな感じもなく、すっと飲み干す。
これがね、朝七時半頃なんだよね。
通勤ていうのは、大体みんな決まった時間で動いているので、ほぼ毎日、同じようにそれを見ながら俺は通り過ぎる。

破滅の足音が聴こえる。
勿論、俺自身が奏でる足音も、たぶん方向は一緒だ。

おいらは、ちょっとスキップしているぐらいじゃないかなぁと楽観的に思うのだけど、
その人の足音はね、猛ダッシュだ。

体を壊すか、精神を壊すかの追いかけっこという陰惨なレースをスパイラル的に進行させている。

俺と一緒にそこを流れていく人を数えれば、100は超えるだろう。

風景の中に埋もれているんだな、その人。

誰も声かけやしない。明らかにそれじゃ駄目なのはわかっているけど、俺も声はかけない。
同じ通路のもうちょっと先に、乞食の人が缶を前において、立ってることがある。

その人は明らかに誰かの関与があって、
散髪されてることも、着替えている事も、
誰かが缶にお金を入れたときに、歌ってるのを聴いた事もある。かなり上手な演歌だ。

絶望という非常に密度の濃い空間をさ〜〜っと流れ去るには、
無関心という手段を使うしかない。

俺はまたしてもこんなくだらない事を書いて、自己嫌悪に陥ろうとしている。
突破するには、関与しかないのに。

俺の陰惨な心持加減には、恐れ入る。

待っているのは、悪夢。また神さんに怒られる。寝言が増えるからだ。