一目惚れ

俺、すぐ好きになっちゃうんだな。主に女の子だけど。
第一印象かな、外見だけじゃなくて、
いい雰囲気だなぁとか、生き方だとか、言葉だとか、動きだとか、
すぐ惚れちゃう。
素敵だなってのは、理想に近しいってことかな。
男のほうはね、惚れるのはやはり第一印象に左右されるけど、
まぁとりあえず後回しになるなぁ。女の子よりは。

好きになるのは自分の頭の中だけだから、
まぁあんまり誰にも迷惑はかけてないはずだと思うけど。

あまりに多く好きになる人がいるので、
かえって一人の本当に好きな人に集中するのは難しいんだな。

人間だけじゃなくて、主に音楽はすぐ好きになっちゃう。

でもさ、音楽という範囲を考えただけで、すぐに絶望したくなるね。
だってさ、生きているうちに、全部聴く事は絶対に無理だから。
聴いてない音楽のほうに、
本当に好きなものが埋まってるかも知れないんだから。こりゃ怖い。
人だってさ、ホント、出会えないよ、そんなにたくさんは。

あ、これだなと思うと、
徹底的に掘り下げてみたくなる。

掘り下げ始めると、それ以外の事、あんまし、かまえなくなっちゃうでしょう。

で、ひとつひとつ丁寧に、慎重に、掘り下げるしかない。

この行為も、殆ど誰にも迷惑はかからないと思う。
自分だけの世界だから。

現実世界の、例えば労働とか、
そうだな、自分の肉体を養うための作業があるでしょ。
そこにまつわる苦労も、非常に多い。
人間関係とか、疲れとか、危険とか、まぁ、たくさんあって、そっちも大変だ。

どうだろう、結婚生活とかも、そっちに入れちゃうな、俺は。

俺は、そっちは、完全に自分の好きな世界とは切り離しちゃう。

勿論、現実世界側も一生懸命にやるんだけど、まぁ、俺の世界じゃないし、精神的には、捨てちゃう。

なんかさ、「仕事の中で自己実現を」みたいな表現が万延してるけど、
そんなもんは嘘っぱちだな。
キャッチフレーズには気をつけたほうがいい。
それは、人を強制的に何かに向わせようとする、最もくだらない言葉だから。
なんかかっこいいことを言ってるようで、
何か買わせようとか、人を騙して儲けようとか、
そっち側からの、非常に薄汚い言葉だから。

仕事は、仕事。それでしかない。
自己実現は、自己実現。この言葉は大嫌いだけど、
仕事と自己実現を分けて考えれば、両立するだろう。

何でもいいから、好きなもんでも嫌いなもんでも、
一個を徹底的に考えてみれば、
考えること自体の困難さも、
一個の複雑さも、
答えの曖昧さも、
体感できるはずだと、期待したい。

一個を完全に理解することが、俺には出来ないかも知れないが、
もし一個でも出来るならば、
それはあらゆるもの全てを理解することになる。

一個の倍数で、世界が出来ているから。