清原選手

まぁ、何を今更という感もあるが、本人の口から刺青の話が出たので、
それは間違いなく事実であることになった。

僕より2、3歳下の世代ではあるけど、
清原、桑田といえば、
間違いなく僕達の世代のヒーローだ。
しかも、群を抜いている。
PL時代の彼等が放つ打球の独特の金属音。
一瞬、球場が静まり返って、その後に湧き上がる大歓声。
決して、忘れることが出来ない光景のひとつだ。

その中でも、清原、桑田というのは、別格なのだ。

清原さんは話もとても面白いし、
カリスマ性も充分に備わっていて、
引退後も、間違いなく野球人として、またタレントとしても、
ヒーローであり続けられたはずだと思う。

僕は、刺青が何か悪いとは思わない。
髪の色を染めたり、美容整形したり、性転換手術を受けたり、眉毛を整えたり、
全て強制されるものではなく、自己責任内のことなので、
他人がどうこう言えないことである。

ただ、
広告を放送したり、広告を載せる印刷物を出版したりという業界は、
刺青は駄目だということになっている。

日本では、世間の目がそりゃ駄目だと思っている可能性がある限り、
不特定多数の人に幻想を与えながら大量にものを売りたいという組織が広告主である以上、
その構図は、永遠に変わらない。

本なんて、誰でも書けるし、
今や映像でも、好きなように流すメディアもある。
絵だって、歌だって、
好きなように流すことは、出来る。
簡単にいえば、街に出て、ひとつずつ配ればいい。

但し、それを生活できるほどのお金に換えるのは、
なかなか難しい。
広告から入る収入が、全てといってもいいくらいだからだ。

個人的に書いた本を自費出版したからといって、
置く本屋も無いし、
殆ど誰も見向きもしない。

それならば、大手の出版社に認められて流通させるとしよう。
そこで扱われているものは、あなたの本だけではない。
ほぼ広告だけで成り立っているような、ファッション雑誌もあるだろう。
もし、あなたが何か世間の目からは到底認められないような内容の本を書いて、
もし間違ってそれが大手の出版社から流通したとして、
その本が世間から叩かれて他の雑誌に広告費をだしている会社が退いてしまうと、困るのだ。

清原さんを金銭的にこれから支えてくれる組織があるとすると、
世間一般ではなく、
特定の業界の会社などの組織になってしまうだろう。

勿論、プロ野球は、よほどの度胸のある球団でなければ、無理だ。

もちろん僕は、
金を稼ぐ手段に貴賎があるとは思わない。
仕事は、仕事でしかないから、
結局は何をやっても同じだと僕は思う。

僕が例えばもの凄く画が上手く描けるとして、
それを商売にするにはやはりどこかで自分の気持ちを押し殺して、
「こんな画を描いてくれれば、お金出しますよ。」
と言ってくる他人に従うしかないだろう。

まぁ、盗んだり、無理やりひったくったり、脅かしてかっぱらったりというのはいけないが、
騙すのは、騙されるほうにやや大きな責任があるような気がしてならない。

売っているものだって、騙されてかっているものが殆どだ。

清原さんが戦っている相手は、
巨大で、動かしがたい、空気という相手なのだ。

僕は、刺青を背負った清原さんは、今でもヒーローだと思っているけど、
世間の目は、間違いなく厳しいだろう。

何故だ。清原さん。

僕は、清原さんには、みんなのヒーローになって欲しいし、
なる力もあると思うのだ。

しかし、
僕の言葉は、清原さんには届かないだろう。
重ねて、残念に思う。