ロバート・クレイス

容疑者 (創元推理文庫)

容疑者 (創元推理文庫)

ロバート・B・パーカー亡き後、
図書館で翻訳もののハード・ボイルドらしき題名を手あたり次第に追って、
作家との出会いを待っていた。
はい。来ました。
通勤電車で読んでいたので、途中幾度となく胸が熱くなるのを抑え、
今日ラストを迎える時、おいらは車内で完全に不審者に見えたでしょう。
ハンドタオルを握りしめ、嗚咽しそうになるのを堪えました。
不審者に見えようとも、読み切るのを止められなかった。

一頭の雌の元軍用ジャーマン・シェパードと、警察犬指導警察官の物語。
ストーリー自体は、もう当たり前のストーリー。

だけどね、シェパードの心理描写が人間の独白ように挟まれているんだけど、
これがたまんない。

おいらは、あらゆる動物の飼育や、植物の栽培は、苦手科目である。
にも拘らず、
読みながら彼女を愛した。

これでしばらくの間、恐らく安心してロバート・クレイス作品の読書旅行をすることが出来るだろう。
パーカーに初めて出会った作品の、「初秋」から始まった旅のように。