良いものが、欲しい。

何かが便利になる度に、良いものは失われる。
職人は、そこから世界を考えざるを得ない。

職人が造るものしか無かった時代は、美しかったはずだ。
職人は自分の技術を高めることに生活を捧げ、
その高めた技術で、何かを造っていたからだ。

そうして造られたものは、疑いようがなく素晴らしい何かで、
誰かが使えば、当たり前にその恩恵を得られる何かだった。

職人とは、世界の芯を追い求める人だ。
まとわりつく醜いものに抵抗する、戦士だ。

もし職人が何かを造ったとしたなら、
僕はそれを求めることに、やましさを感じることは無い。

良いものは、殆ど、無い。