戦争を検証する意義

☆国民の為の経済原論 Ⅰ バブル大復活論

 小室先生が、他の本に書いたことをこの本で読みやすく書いてあるだけなので、
 内容については割愛します。
 但し、繰り返し色々な小室先生の著作を読むことによって、
 だんだんと、例えば経済学の専門用語なども理解できるようになってくると思います。
 ストックとフロー、加速度原理とか、ケインズ、サムエルソン、ヴェーバー、古典派とか。
 以上

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 日本で明治以降の戦争を論じようとすると、
 すぐ軍事帝国主義復活とか、歴史認識の美化だとか、
 そういう批判にさらされて、何が事実であるのか、論じにくい環境にある。

 また、教育でも全くといっていいほど、大切なことは取り上げられない。

 戦争は、外交の延長線上にあるものなので、
 戦争を検証しなければ、外交など存在し得ない。
 戦争を避けたければ、
 何故、戦争に至ったのか、
 何故、戦争に負けたのか、
 それを研究せずして、何も進まない。
 もちろん、戦争に勝ちたければ、道は同じだ。
 国内のムードによって、
 数々の戦争が引き起こされてきたのは、事実なのだ。

 この本で、栗林大将の他にも、世界から(特にアメリカから)賞賛されている日本軍人が紹介されている。
 不思議なことに、日本では、その名前さえ知らない人が、殆どでしょう。
 
 本のカバーに書かれている文章を書き写します。

===日本人が忘れてはならない島がある。
硫黄島の戦闘で日本軍が余りにも強いのを見て、アメリカはこんな強敵と戦争するのはもうごめんだと考えた。
この戦闘の御蔭で、戦後の日本は米軍を殆ど無償で使うことが出来るようになった」=====

 栗原大将は、硫黄島での戦闘の指揮者です。
 地下水は塩分が高すぎて飲料用にならず、雨水頼り。
 思うような補給も無し。
 将校と下級兵士の垣根を、自らが同じ環境で、先頭に立って指揮することで解消し、
 万歳突撃を禁止して、
 持てる過少戦力を最大限に生かすゲリラ作戦を実行し、
 最期の一人となるまで、「1人10殺」「1人100殺」といった過酷な命令を徹底させた。

 その精神の証明として、驚くべきことに、2人の兵士が、
 戦争終結後、数年に渡って、ゲリラ作戦を実行し続けた。

 実際に戦ったアメリカ軍の兵士の多くが、
 その戦闘のすさまじさを実感し、
 戦闘自体に敬意を払い、
 自国の兵士の犠牲者だけではなく、
 敵国である日本の兵士、将校にも敬意を払わざるを得なかった。

 戦いが終わったら、お互いの戦闘に対して平等に敬意を払うという、
 真のフェアプレー精神が、アメリカには存在するのだ。
 日本には、存在していますか?
 
 この戦闘だけではなく、色々な戦闘での敵国を含めた犠牲者の上に、
 今の日本が成立していることは事実であり、
 たとえその戦争目的が歴史的に悪いことだと判断されていても、
 その犠牲者達に敬意をはらうことの妨げにはならないと、私は思います。


=========おしまい=========